内閣広報室から、72億という巨額の資金で委託業者を使って広報するとのニュースが。

一体どこの企業が72億を分配されて受注するのかと思い調べてみました。

内閣広報室の委託業者は知る人ぞ知る企業もありました。

内閣広報室の委託業者の調査方法

今回の調査では、企業側の情報だけではなく、できるだけ政府側が公表している資料を優先ているので、信ぴょう性は高いです。

主に確認したのは、

  • 内閣官房・内閣広報室の調達情報
  • 政府の公共調達に関する公表資料
  • 行政事業レビュー
  • 入札・落札結果
  • 政府系の法人情報・契約情報データ

などです。

特に注意したのが、「契約額」と「行政事業レビューに記載された支出額」を混同しないことです。

行政事業レビューには、過去の事業について実際に支出した金額が掲載されているケースがあります。一方、入札・契約結果には、個別の契約金額が掲載されています。

そのため、この記事では、企業ごとの金額を紹介する際には、基本的に確認できた個別の契約・落札金額を記載しています。

今回確認できた主な委託先企業

今回の調査で、内閣広報室に関係する業務を受注していることを確認できた主な企業は、次の通りです。

  • アクセンチュア
  • インターネットイニシアティブ(IIJ)
  • 博報堂
  • 毎日映画社
  • ステージ
  • 扶桑速記印刷
  • サイマル・インターナショナル
  • 読売広告社
  • クリーク・アンド・リバー社

それでは、それぞれどのような仕事を受注しているのか、金額とともに見ていきます。

アクセンチュア|官邸ホームページ関連で大型案件を受注

今回確認した企業の中でも、特に契約額が大きかったのがアクセンチュアです。

官邸ホームページのシステム構築・運用などに関する大型案件を受注しています。

2021年度には、

「令和3年度 官邸ホームページシステムの構築及び運用業務等」

で、18億1,470万3,000円の契約が確認できます。

さらに2025年度にも、

「令和7年度首相官邸ホームページシステムの構築及び運用業務等」

を受注しており、契約金額は21億7,800万円でした。

この2件だけを単純に合計すると、39億9,270万3,000円になります。

つまり、今回確認できた内閣広報室関連の契約の中では、システム関連の大型案件が非常に大きな金額になっていることが分かります。

インターネットイニシアティブ(IIJ)|2017年度にも官邸ホームページ関連で大型受注

インターネットイニシアティブ(IIJ)についても、官邸ホームページのシステム構築・運用に関する大型案件が確認できます。

2017年度の契約では、政府の公表資料で16億7,400万円という金額が確認されています。

一方、政府系の法人情報データでは15億5,000万円と掲載されている資料もあります。

同じ案件でも資料によって金額表記が異なるため、ここでは契約関連資料で確認できる16億7,400万円を中心に扱います。

このことからも、内閣広報室の業務には、単なる記事制作や広告だけではなく、官邸ホームページを支える大規模なシステム関連業務が含まれていることが分かります。

博報堂|官邸オウンドメディアを活用した広報を受注

広告・広報分野で名前が挙がるのが博報堂です。

2026年度には、

「令和8年度 国民の安心・安全な暮らしにつながる内閣の重要政策に係る官邸オウンドメディアを活用した広報業務 一式」

を受注しています。

契約金額は1億5,400万円です。

業務名からも分かるように、官邸が発信する情報をオウンドメディアを活用して広報する業務です。

なお、政府系の別データでは1億4,000万円と掲載されているものもあります。資料によって金額の表示方法が異なるため、この記事では落札結果で確認できる1億5,400万円を採用しています。

毎日映画社|総理の外国訪問に関する記録映像を長期間受注

毎日映画社は、総理大臣の外国訪問などに関する記録映像の撮影業務を継続的に受注している企業です。

確認できた契約額は次の通りです。

年度 契約額
2016年 146万7,960円
2017年 145万6,400円
2018年 145万8,380円
2019年 172万6,010円
2020年 215万7,210円
2021年 230万210円
2023年 269万5,660円
2024年 266万7,500円
2025年 265万6,500円
2026年 269万50円

このように、毎年数百万円規模の契約を継続していることが確認できます。

特に注目したいのは、単発の大型案件ではなく、総理の外国訪問に関する記録映像という特定業務を長期間にわたって受注していることです。

ステージ|同時通訳・音響業務を長期間継続して受注

ステージは、同時通訳や音響機器の運用に関する業務を担当しています。

この契約については、2015年から2026年まで12年間の受注履歴が確認されており、今回の対象期間である2016年から2026年だけを見ても11年連続になります。

直近の契約では、

  • 2024年:1,232万円
  • 2025年:1,120万円
  • 2026年:1,174万円

となっています。

同時通訳や音響機器の運用という、一般の人にはあまり見えにくい業務ですが、首相官邸の行事や政府関係の情報発信を支える重要な業務の一つです。

扶桑速記印刷|2022~2026年に反訳業務を継続

扶桑速記印刷は、内閣広報室の録音等反訳業務を継続して受注しています。

確認できた契約額は、

  • 2022年:1,256万4,320円
  • 2023年:869万9,380円
  • 2024年:824万5,460円
  • 2025年:814万780円
  • 2026年:1,365万8,400円

です。

2022年から2026年まで、同じ「内閣広報室録音等反訳業務」で5年連続の契約が確認できます。

2026年には1,365万円を超えており、年度によって契約額には変動があります。

サイマル・インターナショナル|「総理の一日」などの翻訳を担当

サイマル・インターナショナルは、首相官邸ホームページの「総理の一日」などに関する英語・中国語翻訳業務を受注しています。

この業務については、11年間にわたる契約履歴が確認されています。

2025年度の契約額は712万4,700円でした。

また、2026年度についても同じ翻訳業務でサイマル・インターナショナルが受注しており、契約額は約648万円と確認されています。

政府の情報発信では、日本語で発信するだけではなく、海外向けに多言語化する作業も必要になります。

その部分を専門企業が担っている形です。

読売広告社|官邸オウンドメディアの効果測定・分析

読売広告社については、2026年に官邸オウンドメディアに関する効果測定や広報改善のための調査分析業務が確認できます。

確認できる契約額は、

1,817万7,000円

です。

また、同じ業務名で1,817万円の契約記録も確認されています。

この業務は、単純にコンテンツを制作するだけではなく、官邸オウンドメディアの効果を測定し、広報活動の改善につなげるための分析を行うものです。

クリーク・アンド・リバー社|官邸SNSのグラフィック・動画制作

比較的新しい受注先として確認できるのがクリーク・アンド・リバー社です。

2026年9月には、

「首相官邸SNS等の投稿用グラフィック制作・動画編集に係る労働者派遣業務」

で、1,683万3,000円の契約が確認されています。

業務内容は、首相官邸のSNSなどに投稿するグラフィック制作や動画編集に関するものです。

政府広報においても、SNSや動画を使った情報発信の重要性が高まっていることが分かります。

まとめ|内閣広報室の委託先には大手企業から専門会社まで

今回、政府が公表している調達情報などを調べてみると、内閣広報室の委託先には、誰もが知る大手企業だけでなく、特定分野を専門とする企業も入っていることが分かりました。

特に金額が大きいのが、官邸ホームページのシステム構築・運用です。

アクセンチュアでは、

2021年:約18億1,470万円
2025年:約21億7,800万円

という大型契約が確認されています。

一方で、毎日映画社の記録映像、ステージの同時通訳・音響、扶桑速記印刷の反訳、サイマル・インターナショナルの翻訳など、数百万円から1,000万円台の専門業務も長期間にわたって継続しています。

つまり、内閣広報室の委託業務は「広告会社に広報を丸ごと任せる」という単純なものではありません。

システム、映像、翻訳、通訳、音響、SNS、動画制作、効果測定など、政府の情報発信を支えるさまざまな分野に分かれているのが実態です。

そして、今回確認した契約額を見ると、1件で数十億円規模になるシステム案件から、毎年継続する数百万円規模の専門業務まで、発注の規模にもかなり幅があります。

なお、今回紹介した企業は、公開資料から確認できた主な委託先であり、これだけで内閣広報室の全委託先を網羅したものではありません。

今後さらに過去の入札・契約資料まで掘り下げれば、今回紹介していない企業や、過去に受注していた企業も見つかる可能性があります。